『戦う!老健協』

会長あいさつ (令和6年1月)

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秋山会長写真

 

インフレーションと同時改定

 

岡山県老人保健施設協会
会長 秋山 正史
(老人保健施設 倉敷藤戸荘)

 

 

 皆さんはインフレーションと言う言葉を聞いたことがあるでしょうか?略してインフレと言うことも多いです。インターネットでインフレを検索すると「インフレとは物の値段が上昇する状態のことです。ただし特定のものだけが上昇するのではなくて、ほとんど全てのものが物価高になることを言います。」といった説明が出てきます。
 1990年以降の30年間、日本ではインフレを経験していませんでした。1980年代もインフレが顕著だったのは土地の値段だけでそのほかの物価は比較的安定していたのでほぼ40年間以上インフレを経験していないことになります。これを読まれている皆さんもほとんどインフレの経験(記憶?)がなかったのではないでしょうか。
 一方で1980年以前、1950年代から70年代の30年間はインフレの時代でした。特に70年代の物価上昇は年間2-3割も価格が上昇することもあるひどいもので、ちょうどその頃に小学生・中学生時代を過ごした私はインフレのとある経験を鮮明に覚えています。当時の私はプラモデルを作るのが趣味でした。戦車や戦闘機のプラモデルが主流で色々なシリーズが発売されていました。小学2年生の時にお小遣いの500円札(!)を握りしめ、一箱500円だったプラモデルを買いに行っていたことを覚えています。ところがある日、いつもと同じように気に入ったプラモデルを選び店員さんに500円を差し出すと「足らないよ。600円」と言われたのです。そうです、同じプラモデルが2割も値上がりしていたのです。私はその時からプラモデルを毎月は買えなくなりました。それでもしばらくはお小遣いをためて時々買っていましたが、その後もプラモデルの値段は600円から700円、900円と値上がりし続け、いつしか興味を失ったことを思い出します。
 ところで冒頭に紹介したインフレの説明には次のくだりが続きます。「物価が高くなるということは製造や販売をする企業等の収入が自然と増えるため、その増えたお金をもって従業員の給料も増やすことが可能になります。」そうなのです。インフレになると企業の収入も増え賃上げの原資が生まれます。コロナ禍やウクライナ戦争に端を発して今回のインフレが起きていますが、この説明の通り民間企業では数十年ぶりの高い賃上げが可能となっています。昨年の春闘では3%以上の賃上げが実施され、今春に至っては5%の声が聞こえてきています。一方、私たちの介護サービスは自分たちで値上げすることが出来ません。私たちの収入は介護保険で決定される準公定価格だからです。先般発表された全国の老人保健施設の運営状況では過半数の施設が赤字運営というもので、昨今の物価上昇の影響を強く受けています。今春には医療介護の同時改定が控えています。皆さんがこの文章を読まれる頃にはすでに改定率が発表されているはずです。それが納得いかないものであれば当然、たとえ一旦は評価できるものであったとしても、長期にわたり続くであろうインフレに打ち勝ちより良いサービスを提供するため、また一般企業と同様の賃上げを獲得するために、いまこそ協会員一丸となって声をあげ続ける時だと思います。

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