『戦う!老健協』

会長あいさつ

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秋山会長写真

新型コロナウイルスと老健

岡山県老人保健施設協会
会長 秋山 正史
(老人保健施設 倉敷藤戸荘)

明けましておめでとうございます。会員施設の皆様におかれましては、健やかに新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。

「皆さん、新型コロナウイルス感染症対策お疲れ様です。私はこの文章を6月1日早朝に書いています。この挨拶文が皆さんの目に留まるのは8月半ばですから、今この挨拶を読んでくれている方は私が2ヶ月半前に書いた文章を読んでもらっていることになります。正直に言いますと、たった2ヶ月後のことですが、私たちを取り巻く環境が8月にどのよう な状況になっているのか全くわかりません。今年に入ってたった数ヶ月で世界が変わってしまったように、今度は逆に、コロナなど無かったように生活しているのか、あるいは第2波と呼ばれる感染の波が到来しているのか、 はたまた5月末のような小康状態(今は1週間前に全国で緊急事態宣言が解除され、岡山では3週間新規感染者が無く、人や車が街に戻りつつある状態です。)が継続しているのか、正解を知っている皆さんにこっそり耳打ちして欲しい気持ちです。本当に想像がつきません。」

 上記は前号に書いた私のあいさつ冒頭部分です。答え合わせをしましょう。残念ながらコロナなど無かったような生活にはなりませんでした。8月半ばは第2波が過ぎて少し感染が収まった状態でした。その後は10月後半から第3波が来ています。11月28日の全国の感染者数は2678人で過去最高です。感染者増加に比例し重傷者も増えてきて、全国的に医療にひっ迫感が出ています。岡山県でも市中感染が日常的に起こっていて、医療・介護分野でも残念ながらいくつかの施設でクラスターが発生していることは皆さんご承知の通りです。
 当初はこの未知のウイルスに対し我々は何の知見ももたずただ恐怖するだけでしたが、この10か月の間に多くのことが分かってきました。飛沫感染と接触感染を主体とすること、クラスターというスーパースプレッダーが存在し、感染者のうち他人に感染させる人は2割以下であること、マスクなしの会話や多人数での会食などで感染リスクが高まること、特定の抗ウイルス薬やステロイド薬が治療効果を持つことなどです。また、それに基づいた数々の対策や治療がなされるようになり、一定の成果を上げているように見られます。

【老人保健施設における対策】
 老人保健施設における対策も、一般的な医療機関や高齢者施設が行っているものと基本的に同じ対応をしていると思います。しかしながら、サービス対象者が重症化リスクの高い高齢者であることから特に対策の徹底に注意して行っています。
 先に挙げた特徴から、密閉・密集・密接の3密といわれる状態を避ける、そのために換気をする、ソーシャルディスタンスをとる、マスクをつける、手指消毒を徹底することで感染しにくくする。さらには感染流行地へ行くことの自粛や集団での会食禁止など。また、多くの発症者は発熱・咳の症状を伴うが10日程で感染性が消失することから、体調不良者はできるだけ休むなどの対策が打ち出されています。老人保健施設としての何か特別な対策があるわけではなく、一般的な医療機関や高齢者施設が行っているもの、もっと言えば普通の方が行っている対策と基本的に変わるところはありません。ただ各々の対策に対する取り組みが徹底していると思います。その証として、県内2か所の老健で患者が発生しましたが、共に孤発で収まっています。これも皆さん一人一人の対策の賜物と感謝いたします。

【老人保健施設協会における課題】
 前述しましたように、全施設真摯に感染予防対策に取り組んでいますが、施設での感染を必ず防げるものではありません。実際に全国では多くの老健でクラスターが発生してしまいました。クラスター発生時の課題の一つは、職員不足が起こり介護崩壊と言われる状態になることです。集団感染がおこり職員にまで波及すると隔離の必要性があることや、不安になり離職するスタッフが出てくることなどから、たちまち人員不足になります。実際に集団感染がおこった北海道の施設では100人の入居者に対して看護介護スタッフが3人!という信じられない事態が起こっていました。このような介護崩壊を防ぐため、事前に対応方法を策定しておくことが現在の最重要課題です。先の北海道の事例では全国老人保健施設協会より救援スタッフを派遣することにより急場をしのぎました。この例に倣い、岡山県老人保健施設協会でも集団感染発生時に派遣するスタッフを募集する「老人保健施設職員相互派遣事業〈支え合い〉システム」を県よりの委託事業として立ち上げました。8月初めに、岡山県老人保健施設協会が独自に行っている感染エキスパート講習合格者を対象に30名の有志を募集し、8月17日には丸一日をかけて派遣職員研修会を実施しました。このシステムが実際には稼働しないことを祈りますが、不測の事態には備えておきたいと思います。
 今現在は新たな感染症と対峙して不安な日々を過ごしていますが、終息しない感染症はありません。歴史に学べば、ペストやスペイン風邪の事例でも3年で終息しています。科学の力を持つ現代では終息はもっと早いでしょう。私はワクチン接種が来年半ばには一般化して感染は急速に下火になると想定しています。「冬来りなば春遠からじ」です。私たちにとってこの冬が正念場です。ご利用者やご家族、そして社会の私たちに対する期待を胸に会員施設一致団結し、本年も引き続き職務を全うしていきましょう。

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